院長コラム
修正手術が増えている?美容医療トラブルの実態と後悔しない医師選びを解説
美容医療トラブル増加の背景
近年、美容医療に関するトラブルや修正手術の相談が増えていると感じています。
リノクリニック東銀座では、骨切り、婦人科形成、目元手術などを含め、他院修正のご相談が非常に多くなっています。修正専門というわけではありませんが、「思っていた結果と違う」「仕上がりに納得できない」という悩みを抱えて来院される方が増えているのは事実です。
この背景には市場の急拡大があります。
厚生労働省の医療施設調査によると、美容外科を標榜する診療所は2020年から2023年にかけて約4割増加しています。提供施設が急増すれば、当然施術数も増えます。分母が増えれば、一定割合で発生するトラブルや不満も顕在化しやすくなります。
また、PIO-NETの集計では美容医療に関する相談件数は年々増加傾向にあります。健康被害だけでなく、「説明不足」「契約トラブル」なども含まれています。
つまり、トラブルが突然増えたというよりも、市場拡大とともに問題が表面化しているという構造です。
修正手術が必要になる理由
修正手術が必要になる原因は一つではありません。
国際論文では、鼻整形の修正率は5〜15%に達するという報告もあります。技術的な問題だけでなく、術前のすり合わせ不足や心理的要因も関係するとされています。
また、術者の経験と修正率の関連を示す研究では、トレーニング段階の医師が関与した症例で修正率が有意に高いと報告されています。
重要なのは、「医師の技術」だけではなく
・適応判断が正しかったか
・患者との認識が一致していたか
・リスク説明が十分だったか
この3点です。
実際、当院に来られる修正相談の多くは「希望は伝えたつもりだった」「こうなるとは思っていなかった」というケースです。
注入系施術の合併症リスク
「メスを使わないから安全」という認識も誤解です。
Annals of Plastic Surgeryに掲載された29万件超のヒアルロン酸注入の解析では、重篤合併症(血管閉塞・感染)が報告されています。発生率は低いものの、ゼロではありません。
さらに、日本美容外科学会の報告では、重度有害事象の約8割が注入系施術によるものであったとされています。
非外科的手技でも、医学的リスクは確実に存在します。
リスクは確率の問題であり、起きない保証はどの医師にもできません。
最初の手術が最も重要
どの手術も、初回が一番やりやすい。
組織が柔らかく、解剖が保たれている状態での初回手術は、最も理想に近づけやすいタイミングです。
修正手術は、
・瘢痕組織
・血流変化
・解剖の変化
があるため、難易度が上がります。
当院では修正代をほとんど頂いていませんが、医学的に簡単だからではありません。
初回で十分な話し合いができなかったことが背景にあるケースが多く、「最初にここに来ていれば」と言われることも少なくありません。
だからこそ、初回で医師選びを慎重にしてほしいのです。
医師との信頼関係が鍵
手術には一定確率で合併症が起こり得ます。
重要なのは、合併症が起きたときに「一緒に治そう」と思えるかどうかです。
修正相談で多いのは、
「相談しても取り合ってもらえなかった」
「冷たく対応された」
というケースです。
本来、最初に執刀した医師が一番状況を理解しています。まずは執刀医に相談するのが原則です。
しかし、信頼関係が築けていなければ、それは難しい。
美容医療は自由診療です。効率を重視するクリニックも存在します。
だからこそ、
・希望を言いやすい
・質問を歓迎してくれる
・不安を軽視しない
そういう医師を選ぶべきだと個人的に考えています。
リノクリニックの修正対応方針
当院では修正専門を掲げているわけではありません。
しかし、
・できる範囲で
・過剰な費用負担を避け
・医学的に合理的な方法で
修正を行っています。
修正手術は医師にとっても学びが大きい分野です。他院症例を紐解くことで、適応判断の重要性や術式選択の妥当性を再確認できます。
修正相談が増えている今だからこそ、最初の手術の重要性を強くお伝えしたいと考えています。
よくある質問
Q1 修正手術は必ず成功しますか
A どの手術も100%の保証はありません。瘢痕や血流の状態によって限界があります。事前に到達可能な目標を共有することが重要です。
Q2 修正代が高いのはなぜですか
A 修正は難易度が高く時間もかかるため、割増料金を設定する施設が多いです。当院では原則通常料金で対応しています。
Q3 最初の医師に相談しづらい場合はどうすればいいですか
A まずは冷静に相談を試みるのが原則です。それが難しい場合は、セカンドオピニオンとして相談してください。
参考文献
- 1. ヒアルロン酸の合併症に関する論文
Tamura T, et al. Serious Complications of Hyaluronic Acid Fillers: A Retrospective Study of 290,307 Cases. Annals of Plastic Surgery. 2025;94(1):22-28.
-
2. 二重埋没法のトレンドに関する論文
-
Okumura K, et al. Time-Series and Demographic Trends in Cosmetic Surgery: Multicenter Analysis of Double-eyelid Embedding in Japan. Plastic and Reconstructive Surgery – Global Open. 2025;13(2):e5610.
- 3. 日本美容外科学会の会報
日本美容外科学会(JSAPS). 非吸収性充填剤注入による合併症の現状調査報告. 日本美容外科学会会報. 2022;44(特別号).
- 4. 医師の経験と修正率に関する論文
Gupta V, et al. Revision Rates in Cosmetic Plastic Surgery with and without Resident Involvement. Plastic and Reconstructive Surgery – Global Open. 2024;12(3):e5684.
-
5. 鼻整形の不満足度に関する論文
-
Shridharani SM, et al. Persistent cosmetic dissatisfaction in rhinoplasty and management of the difficult patient. Plastic and Aesthetic Research. 2024;11:15.
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6. 厚生労働省の統計
-
厚生労働省. 令和5年(2023年)医療施設調査・病院報告の概況. 2024年12月発表.
- 7. ISAPSの統計
- International Society of Aesthetic Plastic Surgery (ISAPS). ISAPS International Survey on Aesthetic/Cosmetic Procedures Performed in 2023. Published 2024.
監修者情報

宮﨑 邦夫
リノクリニック東銀座 院長【資格・所属学会】
日本外科学会専門医 / 日本外科学会会員 / 日本形成外科学会会員 / 日本頭蓋顎顔面外科学会会員 / 日本美容外科学会会員
消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科など外科研修ののち、外科専門医を取得。その後、形成外科で6年、美容外科で7年実績を積み、リノクリニック東銀座を開業、院長を務める。美容外科の技術は韓国や台湾、アメリカなどへ出向き、良質な技術を取り入れて日々の診療に生かしている。 2014年から在籍していた湘南美容クリニックでは指導医として若手美容外科医の教育にも尽力し、同院で行われた美容外科コンテストで2年連続ではグランプリを獲得。次の東京美容外科では骨切りメニューの立ち上げを行い、スタッフ教育にも尽力した。
監修日:2026.03.02




